2013年12月1日日曜日

読書メモ

「忘れられた俳人 河東碧梧桐」正津勉(平凡社新書649)

正津勉
1945年福井県生まれ。同志社大学文学部卒業。72年、詩集「惨事」(国文社)でデビュー。81年、ミシガン州オークランド大学客員詩人。代表的な詩集に「正津勉詩集」「死ノ歌」「遊山」(いずれも思潮社)があるほか、小説「笑いかわせみ」「小説尾形亀之助」「河童芋銭」、エッセイ「詩人の愛」「脱力の人」(いずれも河出書房新社)など幅広い分野で執筆を行う。近著に山をテーマにした詩集「嬉遊曲」、エッセイ「人はなぜ山を詠うのか」(いずれもアーツアンドクラフツ)、「山川草木」(白山書房)ほか多数。自らも登山を楽しむ。

はじめに
第一章 子規の導き
1 俳界の麒麟児ー一息に三里はきたりせみのこえ
2 子規門の双璧ー赤い椿白い椿と落ちにけり
第二章 「真に天下の大恨事」ー子規逝く
1 多芸多才なる新派代表ー強力の清水濁して去りにけり
2 虚子との確執また対立ーから松は淋しき木なり赤蜻蛉
第三章 歩く人・碧梧桐ー「三千里」周遊
1 東京から仙台へー旅心定まるや秋の鮎の頃
2 仙台から青森へー千百里漂ひ来る海鼠かな
3 厳冬の北海道へー蝦夷に渡る蝦夷山も亦た焼くる夜に
4 青森から横手へー雲霧や風は神よばひしてや鳴る
5 横手から東京へー朴落葉俳諧の一舎残らまし
第四章 新傾向の命運ー「続三千里」周遊
1 東京から城崎へー雁名残鳴けば朱を染む貝のあり
2 城崎から玉島へー相撲乗せし便船のなど時化となり
3 玉島から東京へー此日巡遊興のなかりし足袋払ふ
第五章 自由律への第一歩
1「海紅」創刊と碧派の分裂ー立山は手届く爪殺ぎの雪
2 直接的表現から「人間味」の充実へー君の絵の裸木の奥通りたり
3 外遊から生まれた「詩」ーチ丶アンの女春の夕べのうしろ髪解く
第六章 昭和、晩年、独楽
1 ルビ俳句の実践ー簗落(オチ)の奥降らバ鮎(コ)はこの尾鰭(ヲド)る
2 俳壇引退と煎餅屋計画ー孤独(ヒトリ)にて精進(ユカ)バなどたどたどし年齢(トシ)と衰退(シサ)りてあらん
3 「はぢける如く」逝くー老妻若やぐと見るゆふべの金婚式(コト)に話題(カタ)りつぐ
あとがき

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