2012年12月14日金曜日

読書メモ

「映画渡世・天の巻 マキノ雅弘自伝」

東宝の「次郎長三國志」シリーズから東映の「日本侠客伝」シリーズへと、“任侠映画”ブームをつくったマキノ雅弘(正博)。“日本映画の父”マキノ省三の長男として生れ、「浪人街第一話・美しき獲物」「嵩禅寺馬場」「蹴合鶏」、そして「首の座」と、いわゆるベストテン映画の 監督として華々しいスタートを飾りながら、その後は職人監督に徹してひたすら映画のという渡世の底辺に生きて来たのは、何故か……。怒涛の青春遊侠篇を描く本書「天の巻」に次いで、後篇「地の巻」では、戦中・戦後の混乱期から、新しい映像革命の可能性に挑みつつある現在までの風雲残侠篇を描く。

第一章 映画も私も子どもだった頃
父の活動写真と共に私が生れた/雨の日だけしか学校へ行けない/馬喰町の悪童ども/松之助の忍術映画から教育映画へ/河原乞食と馬鹿にされ
第二章 映画も渡世のはじまり
ワン、ツーやのホイ!/紫の矢絣に白いパラソルの娘/わいは硬派の不良やで/ラグビーからまた映画へ/どうにでもなれと助監督に/「活動写真」から「映画」へ/山上伊太郎との出会い/マキノを担う両星
第三章 父と子
十八歳で監督に/大石内蔵助が六方を踏んだ/「忠臣蔵」焼失/浪人街の白壁にいろはにほへとと書きました/マキノの若手トリオ/キネマ旬報ベストテン表彰式/天神さんの日にわしは首の座に上がんのや/各界に黒く暗く十八年
第四章 映画界初めてのストライキ
マキノの後継者/日給五十銭のしがない所長さん/山中貞雄はんは天才監督や/借金三十七万円を背負って
第五章 喜怒哀楽の日活マキノ時代
長屋時代/愛憎がらみの封印切り/マキノの残党、日活へ/初めてのラブローマンス/十六歳の山田五十鈴/日活争議の裏側/立回りのない時代劇/首が切られたりつながったり/野球をしたりスキーをしたり/市川春代のラリルレロ/紙芝居屋の横田のおっさん
第六章 トーキー映画事始
トーキーめざして/満州事変のニュース映画を演出した/日本最初のコマーシャル映画/日本映画はみなトーキーやァ
第七章 録音屋稼業と阿波の恋
京都映音の発足/トーキー時代来る/直木三十五と聯合映画芸術家協会/阿波徳島へ/惚れていて、惚れていていて/彼女は泣いている/橋の別れ/人並みの生き方をしてみたい
第八章 マキノトーキー時代
親友/その妓の旦那になりました/マキノトーキー撮影所/花嫁の顔も見ないで/スターを引き抜かれて/永田雅一、新興キネマへ/解散まで/マキノトーキーの看板が火の中へ
第九章 母と子
再び日活へ/月給五百円、一本手当五百円/阪東妻三郎の再起/もっとあごを長くして帰って来てくれ/長谷川一夫の顔を斬った男/お通さんは惚れた/二十八時間で一本映画を撮る/轟夕起子の自殺未遂/眼があかなんだら、女房にします/父の十年記念の「忠臣蔵」/母が倒れた/日本最初のオペレッタ映画/やさしい母の顔を見た

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